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    日々、偶景から

                



                 古書店snowdropが5月初めに開店。
                 前回、大泉学園のポラン書房の閉店を伝えたが、同書房のスタッフだった南由紀さんが新たに始めた店。
                 snowdropは雪割草のこと。
                 雪/由紀をもじっている。
                 
                 




                 規模は小さいが、センスにあふれた魅力的な店で、早くも定期的に通う古書ファンが増えている。
                 小学生の姪っ子さんの書いた励ましの色紙が飾られていて、客の3気持ちを暖かくする。





                 「文学を中心とした店です」と涼やかに言い切る店主の心意気が嬉しい。
                  画家の井上洋介の句集『大階段』と驚きの出会い、即座に入手。
                 『暮らしの手帖』のバックナンバーとか、文学以外の棚も一見の価値あり。




                 残念な閉店。
                 40年近く通った、本郷三丁目の老舗の古書店「大學堂」が5月末で閉店した。
                 なじみの古書店が閉店するたびに、心に空洞ができる。





                 この本の迷路も懐かしい。雑然と本が積まれ、迷路のような棚の間を入っていく、いかにも古書店らしい古書店で、宝探し的な楽しみがあった。
                 父が戦前に刊行した本を見つけたのもこの店。35年前のことだが。





                 立教大学(池袋校舎)、第一食堂へ向かう中庭の道の藤棚。4月中旬。
                 「今年も咲いたな」というこの半世紀以上も繰り返した単純な感慨が、年々重みを増してきた。




                 この藤棚を見るために毎年キャンパスに足を運ぶ。
                 大学に入って所属した「英米文学研究会」で、艱難辛苦の読書をした、フォークナーの『アブサロム、アブサロム』をいつも思い出す。
                 その冒頭は濃密な藤の花が匂いたつ。





                 


 

          




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