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転落譚、愛を道連れに 折々の景から にもかかわらず、時は動く

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折々の景から



〜花めぐり、または立ち止まる季(とき)〜

@東京板橋、享保年間に建てられた旧粕谷家の邸宅。
                        大東文化大学板橋校舎から徒歩15分の場所で、
                        私はこの敷地内にある蕎麦屋「槇」にたびたび来る。
                        このときの、花めぐりは、椿だ。    
 Aその蕎麦屋の庭にある見事な槇の樹。


B東京豊島区雑司が谷の旧マッケーレブ邸の桜。
                        この家は明治40年、アメリカの宣教師マッケーレブが建てた
                        もので、19世紀アメリカの郊外住宅の様式をのこしている。


 Cマッケーレブ邸の二階の窓から桜を見る。


 D東京台東区、上野不忍池の桜と東大病院。
                  この病棟に入院していた日々が、まだ昨日のように思える。

 E埼玉県東松山市岩殿、弁天池の桃と水仙。
                          この池の伝説は「旅する転落譚」に記した。

 F練馬区、三宝寺池の紅満作。


 G同じく、三宝寺池の花菖蒲。


 H埼玉県飯能市、美杉台の石楠花。


 I同じく、飯能河原にかかる吊り橋の花壇。


J埼玉県、東松山市岩殿、物見山。
                        ここは全山がツツジの花で燃え立つ。まだ三分咲きであったが、
                        早くも燃え立つ気配があって、もの狂おしい思いだった。



 K同じく、物見山。
                         街道の橋から谷合を見ると藤の花が風に揺れていた。
                         薫を運ぶ微風を待つが、ついに来ない。



〜飯能ハイクに誘われて〜

 @友人のNKに誘われて、雨上がりの日曜日、埼玉県、飯能ハイキング。
                 名栗川の河原に向かう。同時通訳者のTKさんも同行。歩きながらも、仕事の話。


A河原の近くで見た建築用の資材小屋の既視感に、集団から離れて思わず立ち止まる。
                小学校の時の友人HMの家によく似ていたからだ。
                彼は遠縁にあたる農家の敷地の隅にあるトタンの家に住んでいた。
                束の間、時間が止まる。






 満月の夜、隅田川の永代橋。ギャラリーマキから。


 1月末、生野毅と蓑田知佐による朗読パフォーマンスが、
                   永代橋のギャラリーマキで開かれた。
                   タイトルは、「Voice beyond the Worldーこの世の外からの声」
                   始まる前の椅子とテーブルが、まるで声を殺しているかのように
                   待機している。
                   やがて暗闇。小さなカンテラを使った明暗の演出で、コルタサル
                   の短編『悪魔の涎』が、その複数の声の錯綜するテキストとして
                   見事に演じられた。
                   後半の部で、私も二人の「この世の外からの声」のトークに参加した。
                   コルタサルを中心に、話題は多くに広がり、愉楽の夕べを過ごした。






  


  2012年の10月に立教大学旧図書館の最後の公開があった。
                  学生時代に毎日のように座った場所。2階のツタの絡む窓の席だった。






 長野県茅野市プール平。小津安二郎の夏の仕事場の「無藝荘」。
                        本来は500メートルほど先の谷合にあったが、ここに移築された。



「無藝荘」の囲炉裏。毎夏、野田高梧とたくさんのシナリオを書いた。
                   夏でも、8月20日を過ぎると、日によっては暖が欲しくなる。
                   囲炉裏の脇に座ると、ひっそりと緩やかな時間が流れ出す。



 同所、風呂場。五右衛門風呂にしばらく見とれてしまった。私の
                        生まれた杉並の荻窪の家にあった風呂にそっくりだったのだ。
                        足の下にいつも恐怖を感じながら湯につかった。






 山梨県、忍野八海の湧池。40年ぶりに訪ねて予想はしていたが、
                        その変貌に驚く。学生時代に近くの民宿でゼミ合宿をしたときに
                        は、八海は畑の真ん中にあって、恐々と覗き込んだのだが。






 長野県、八ケ岳・白駒の池。カギカモジゴケの這う巨木。
                   木の幹に群落を作る。カモジとは添髪のこと。山の空気に苔の芳香が漂う。



 長野県、茅野市のイタリアン・レストランのM。
                        訪れるたびに、幸福感を覚えるレストラン。
                        木道の階段を下りていくと、古い民家の店舗が、
                        花園に埋もれるようにして現われる。






 ある日の午後、地下鉄・丸の内線の後楽園駅。
                   鏡に入ってくる電車の動きを見つめていた。
                   ところが実像の電車とは逆の方向へ遠ざかっていった。
                   そんなはずはない? しかし私は見たのだ。
                   いったい何が起こったのか。






 柳橋(北岸、東京都台東区)は、
                        かつての花街を偲んで、かんざしの飾りがある。



 神田川の第二橋梁、浅草橋 (東京都中央区の南岸より)


 左衛門橋から浅草橋を見る





 大東文化大学東松山図書館ロビー、中村邦生の選んだ100冊

                                 
                       2012年4月から、月毎に教員の推薦図書を展示する企画が始まった。
                       私の展示は5月中旬まで。この後、小野民樹(ノンフィクション)、
                       押川典昭(アジア文化)と続く。
                       私の場合、図書館の所蔵する本から選んでいったので、必ずしも
                       「わがベスト100冊」を反映しているわけではないが、すべて優れ
                       た本で、かなり面白いリストが出来上ったと思う。
                       内容は「お知らせ いま、進行中のこと」欄の「大東文化大学東松
                       山図書館展示・中村邦生の選んだ100冊 リスト」をご覧いただきた
                       い。







 長野県、原村の農業用水路。
                   八ケ岳の渓流を源とする水の勢いが足元に響く。
                   用水をまたぐ私は、いつしか急流を駆るような気分になった。
                  「止まれ」の交通標識にさしかかったのはこの後だ。






 静岡市、駿府公園・紅葉山庭園の池に、なぜか
                        パピルスが生えている。
                        英語のpaperはこのpapyrusから出た言葉だ。







 沖縄・久高島、「やぐるがー」。神女が禊に使う神聖な井戸。



 沖縄・那覇市、市場で見かけた客席が2つの喫茶店。



 沖縄・那覇市、魔よけの〈石敢当〉(いしがんどう)を立てた辻。



 沖縄・久高島、北端の海岸。






 立教大学マキム館の研究室から見た池袋の夜景。
                        4月から特別研究員として借用していたこの場所
                        での仕事も残すところ2か月となった。







 電気修理店の前の電線に止まる白鷺。なぜか長いこと動かない。
                           静岡県・三島市。


 富士山の伏流水の流れる源兵衛川。静岡県・三島市。






 水門橋
                         水源地の井の頭池が神田川となる最初の小橋。




 水門橋から眺めた神田川の流れ。




 神田川水源、井の頭池の休日の夕暮れ時。








  ロンドン、テート・モダン@
                         リキテンシュタインの絵の前の親子。
                         二人の子がときにアクション・ペインティングのように立ち上
                         がり、絵具が飛び散らんばかりに元気よく絵を描いている。








  ロンドン、テート・モダンA
                    こちらはジャコメッティの彫刻の前で、スケッチをしている親子。
                    入場料は無料、写真も可、スケッチも可。一応、写真禁止のマーク
                    はあるが、守る者はいない。警備員は写真を撮ろうとする若者に、
                    ベスト・アングルの位置を助言しているおおらかさ。








スイス、シャフハウゼンの古書店
                         藤の花が見事に咲いていた。あいにく土曜日で休業。
                         窓から覗くと、奥の棚に浮世絵のドイツ語版が見えた。








スイス、バーゼルの古書店
                          魅力的な古地図がたくさんあった。




   ショーウインドーに飾ってあった1607年にアムステルダムで印
                    刷された銅板画の日本地図。
                    どうしても欲しくなったが、価格の妥当性に自信がなくて諦める。
                    しかし、研究テーマの「日本幻想」にも関係があり、このあとずっ
                    とこの地図のことが脳裏を離れない。








ロンドン、マッグス古書店。
                  グリーン・パークから歩いて10分ほど。創業150年の老舗。
                  私の大好きな本屋のひとつ。




 「図面」
                           私が川のことを調べている最中だと伝えると、マッグスの
                           東洋部長のDr.Titus Boeder氏が珍しい資
                           料を倉庫から出してくれた。
                           明治44年の「図面」と書かれた多摩川、秋川、浅川、海
                           老取川の手書きの測量図面で、大部なもの。水害で不調箇
                           所ありと、実状の正確さを期している。買う余裕はなかっ
                           たが、ちなみに値段は2500ポンド。








  ロンドン、古地図専門店のジョナサン・ポター(2階の店)
                    Boeder氏が親切にも途中まで同行して教えてくれたニュー・ボン
                    ド・ストリートにある古地図専門のアンティークショップ。1692年
                    にヴェニスで刷られた銅板の魅力的な日本地図があったが、高額。








 日本地図
                          1817年にロンドンで印刷された彩色銅版画の日本図。
                          これを嬉々として入手。値段はコース料理2回分ほど。
                          日本に帰って額装店でライト・グリーンの額に入れた。








ルツェルンの眼鏡店
                  赤ん坊もぬいぐるみの猫も眼鏡をかけた近眼ファミリー。








 八丈島の唐滝
                   野田研一(立教大学異文化コミュニケーション研究科)の主宰した
                   八丈島でのワークショップに参加した。
                   三原山への登山で、突然現われた滝に感動。霧となった水滴が空を舞う。
                   写真家の宮嶋康彦さんの指導を受けたこのワークショップの詳細は、
                   改めて報告する。








        小島信夫・愛子夫妻
                      イングランド、ストラットフォード・アポン・エイボン
                      (シェイクスピアの生地)にて/1991年9月








                        
             壁面の通路燈 (白井晟一設計)
               白井晟一の設計した芹沢_介美術館(静岡市)の壁面に埋め込まれた小さな通路燈。
               芹沢はこの建物が気に入らず、開館の祝賀会で互いに口を聞かなかったという。
               なぜか?
               私は芹沢の仕事にも敬意を持っているが、はっきり言って、 白井晟一の建築への
               強い関心と共感から出かけた。


              
                    芹沢_介美術館入り口







 卓上ベルと洋書(EgT先生の思い出に)
                  『チェーホフの夜』に登場するT先生のモデル、立教大学文学部の元教授
                  EgT先生の書籍の整理に友人たちとご自宅にお伺いしたとき、作中に出
                  てくる懐かしい短篇小説アンソロジーを発見、机の上にあった立教大学創
                  立100周年(1974年)記念の卓上ベルと一緒にいただいてきた。





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